埼玉大学
脳末梢科学研究センター
Brain and Body System Science Institute (BBSSI), Saitama University

ー学内外の知を終結した、戦略的研究拠点ー

組織・構成

個人プロフィール

氏名 塚原 伸治
所属部門 脳末梢機能連関研究部門
役職 兼任教員 理工学研究科准教授

略歴

1994 名古屋大学農学部卒業
1999 名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程修了(農学博士)
1999 - 2002 早稲田大学人間総合研究センター助手
2002 - 2004 神戸大学大学院自然科学研究科助手
2005 - 2009 独立行政法人国立環境研究所 主任研究員
2009 - 現在 独立行政法人国立環境研究所 客員研究員
2011 - 現在 東京大学大学院総合文化研究科 非常勤講師

研究テーマ

(1) 脳の性分化機構

哺乳動物の性別にはオスとメスがあります。性別の違いは外見に顕れていますが、脳の内部構造や機能にも性差が生じています。脳の性別は、遺伝子(オス:XY、メス: XX)ではなく、ホルモンの影響を受けて決まると考えられています。発達期の精巣から分泌されたアンドロゲンが作用すると脳がオス型になりますが、アンドロゲンが作用しないと脳がメス型になるのです。脳の性分化を理解するため、脳の性差形成機構、性行動の神経制御機構、性ステロイドホルモンの作用機序について、ラットやマウスを用いた分子生物学、細胞組織学、行動神経内分泌学の研究を行っています。脳の性差は動物だけでなくヒトにもあります。ヒトでは性指向性(異性愛、同性愛など)や性同一性(自身の性別に対する認識)に関係する神経核に性差があり、神経解剖学的にはそれらに相同する神経核が動物の脳にも存在します。私たちは、脳の性分化の研究を通して、男らしさと女らしさを形作る実体を明らかにしたいと考えています。

(2) 化学物質の発達神経毒性

私たちを取り巻く環境には膨大な数の化学物質が存在します。その中には、健康に影響を及ぼす恐れがあるものも含まれており、多くの場合、それらの毒性に関する生物学的データは乏しいのが現状です。脳に対する化学物質曝露の影響はQOL(生活の質)低下に繋がります。特に、発達途上にある胎児や小児の脳発達に対する化学物質の影響は一生涯残るだろうと言われています。このように、化学物質の発達神経毒性を調べることは、健康へのリスクを評価し、それを低減する上で重要です。しかし、膨大な化学物質を網羅して詳細に調べることは、現実的には困難です。そこで、発達神経毒性評価のスクリーニングに役立つ新たな試験法開発を目指して、培養ニューロンのライブイメージングを行っています。

研究内容の図解

研究のキーワード

脳の性分化;ホルモン;性的二型核;性行動;発達神経毒性;環境化学物質

これまでの主要な業績

  1. Tsukahara S, Tsuda M, Kurihara R, Kato Y, Kuroda Y, Nakata M, Xiao K, Nagata K, Toda K & Ogawa S: Effects of aromatase or estrogen receptor gene deletion on masculinization of the principal nucleus of the bed nucleus of the stria terminalis of mice. Neuroendocrinology, in press, 2011.
  2. Koike-Kuroda Y, Kakeyama M, Fujimaki H & Tsukahara S : Use of live imaging analysis for evaluation of cytotoxic chemicals that induce apoptotic cell death. Toxicology In Vitro, 24, 7, 2012-2020, 2010.
  3. Tsukahara S : Sex differences and roles of sex steroids in apoptosis of sexually dimorphic nuclei of preoptic area in postnatal rats. Journal of Neuroendocrinology, 21, 4, 370-376, 2009.
  4. Tsukahara S , Nakajima D, Kuroda Y, Hojo R, Kageyama S, & Fujimaki H: Effects of maternal toluene exposure on testosterone levels in fetal rats. Toxicology Letters, 185, 2, 79-84, 2009.
  5. Tsukahara S, Hojo R, Kuroda Y & Fujimaki H: Estrogen modulates Bcl-2 family protein expression in the sexually dimorphic nucleus of the preoptic area of postnatal rats. Neuroscience Letters, 432, 1, 58-63, 2008.
  6. Tsukahara S, Kakeyama M & Toyofuku Y: Sex differences in the level of Bcl-2 family proteins and caspase-3 activation in the sexually dimorphic nuclei of the preoptic area in postnatal rats. Journal of Neurobiology, 66, 13, 1411-1419, 2006.
  7. Tsukahara S: Increased Fos immunoreactivity in suprachiasmatic nucleus before luteinizing hormone surge in estrogen-treated ovariectomized female rats. Neuroendocrinology, 83, 5-6, 303-312, 2006.
  8. Tsukahara S, Tanaka S, Ishida K, Hoshi N & Kitagawa H: Age-related change and its sex differences in histoarchitecture of the hypothalamic suprachiasmatic nucleus of F344/N rats. Experimental Gerontology, 40, 3, 147-155, 2005.
  9. Tsukahara S, Inami K, Maekawa F, Kakeyama M, Yokoyama T, Yuji M, Kitagawa H, Kannan Y & Yamanouchi K: Postnatal apoptosis, development, and sex difference in the lateral septum of rats. Journal of Comparative Neurology, 475, 2, 177-187, 2004.